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エアロパーツ、ドレスアップのダムド|DAMD Inc

DAMD JOURNAL

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もし、70年代にデリカミニがあったら――。

 

「冒険心をふくらませるカッコかわいい軽」
として生まれたデリカミニを、ダムド色に。

デリカミニ・ダリと命名された
この「伝説の血統、小さな本格派」は、
名車であるパジェロをオマージュして
ネオクラ×タフギア路線へと誘ったもの。

それはフェイスチェンジだけで括れない。
昔からある元祖のような表情の裏側に宿る、
つくり手側の意思と、意地を訊いた。

ネオクラ×タフギアの新章。

 

三菱自動車は東京オートサロン2026で、「遊び心を解き放て」というキャッチコピーのもと、「デリカ祭り」を掲げて計11台のカスタムカーを持ち込んだ。それはデリカというブランドと、それを取り巻くカスタムカーカルチャーを三菱自動車自身が認めている証左だと思う。

 

そのうちの1台。丸目の軽ハイトワゴンには人だかりができていた。スマートフォンを向ける来場者も多い。唯一、アフターパーツメーカーの名を冠したコンプリートカー「DELICA mini דDALI” with DAMD」、通称「デリカミニ・ダリ」である。いわゆるデリカミニのダムド・コン
プリートカーであり、三菱自動車とダムドとのコラボレーションだといっても、決して大げさではない。

 

「ダカールラリーをイメージしたラッピングと、パジェロをオマージュしたグリルとライト。三菱らしさを残しながら、かわいくもワイルドなスタイルに仕上げた1台」と、三菱自動車側からはアナウンスされた。

「軽ハイトワゴン系の新型車をネオクラシック路線にあらためるアプローチは、いままでいくつもやってきました。その方向性でデリカミニを見たら、これは相性が抜群だと感じたんです。固有のデザインや世界観を引き立てつつも、そこに私たちダムドらしさも盛り込むことができるはずだと思いました」

 

このパッケージを発案したのは、近年のダムドコンプリートカーの多くを手がけるデザイナーの徳田亮介だ。「デリカ×ダムド」を融合させるのに、彼が注目したのは三菱自動車の偉大なるヘリテージだった。それを象徴するのがDALI(ダリ)という名前だ。単に歴史的画家であるサルバドール・ダリを連想させるだけではない。ダカール・ラリーの略語であり、デリカとの語感の連続性も含ませたという。こうした意味から浮かんでくるのが、冒頭で三菱自動車が触れていたパジェロである。

 

「最初から特定の車種を想定したわけではありません。70年代のオフロードカーやラリーカーが持っている空気感を、いい意味での泥臭さを、再現したかったんです。だからこそ、デリカミニにとっては、あのユニークな顔つきがアイデンティティであることを重々承知しながらも、あえて丸型ヘッドライトを使った表情をつくって、初代パジェロをオマージュしました。もし、70年代にデリカミニが存在していたら、きっとこういう顔をしていたんじゃないか――というのが今回の狙いです」

 

今回の計画は、最初から顔(フェイスチェンジ)のみと決めていたという。デリカミニが持つ無骨なスタイリングや、オフローダーっぽいツートンカラーが、ダムド流のアプローチとは自然と調和すると確信したからだ。結果として汎用品の丸型7インチハロゲンライトを埋め込むことを前提に、グリル&ライトカウル、バンパーガーニッシュを用いたダムド流のフェイスチェンジとなった。

顔つきの裏側にある意思と意地。

 

それでも開発は一筋縄でいったわけではない。当初は純正バンパーを丸ごと交換するフルバンパータイプを想定していた。しかし、デリカミニにはMI-PILOT(マイパイロット)をはじめ、三菱e-Assist(運転支援機能)、3Dマルチアラウンドモニター・移動物検知機能(MOD)など、先進的な運転支援・安全装置が備わっている。その目となるカメラやセンサーは、バンパーの両サイドやエンブレムなどに仕込まれるため、安直に総取っ替えすることはできない。

 

そこで、徳田はエンジニアと度重なる議論を繰り返しながら、純正バンパーを活かしたかたちのバンパーガーニッシュへと帰結させた。徳田と二人三脚となって開発を進めたのは、ダムドの企画開発部で3Dモデラーとして活動する川崎 光だ。徳田のデザインを、量産可能な製品へと落とし込むためには欠かせない相棒である。

 

バンパーガーニッシュをみると、センサーが位置する部分は、さりげなく純正の面を残している。レーダーセンサーを活かすためにエンブレムも純正のまま。結果として運転支援・安全装置は、すべて活かすことができた。

ハイライトは丸型ヘッドライトとの調和だろう。純正にある半円を描くようなヘッドライト形状を、丸型にあらためると随所に干渉が生じる。そのためデザイン、設計領域ともにグリル&ライトカウルを苦心しながらもカタチづくった。最終的には純正バンパーの裏側を一部カットする方法を採り、この7インチヘッドライトの目つきを手に入れた。

 

昔ながらのハロゲン式ながら、オートライトコントロールやオートハイビームは残している。使えないのはオートレベライザー機能と、メーカーオプションとなるアダプティブLEDヘッドライトくらいだ。このあたりも純正の機能と調和させる開発能力がある。

 

「長い目でみた際、部品入手を含めた交換のしやすさを考え、丸目の汎用品として一番出回っているサイズにしています。昔のクルマも同じものを使っていたと思うので、その空気感を強調させる意味合いもあります。整備性という意味では、なるべくパーツ点数を減らして、ポン付けできるようにしています。全国どこの販売店(整備工場)さまでも、容易に装着ができるようにすることは、私たちの一貫したポリシーです」

 

と、川崎は話す。ダムドはほかに「純正回帰を可能とする」という考えかたもあるため、当初はバンパーカットに抵抗もあったという。結果として今回は加工を前提とする製品とした。それも外からは見えない部分にして、ボディ本体ではなくバンパーの樹脂部分だけだ。わずかな加工でも、その事実に悔しさを滲ませる彼からは、ダムドの思想のもと理想的な製品を追い求めるエンジニアの矜持を感じさせる。

 

「どこまでが純正で、どこから変わっているの――? と、お客様から質問をいただくことがあるんです。それだけ元のデザインと調和している証拠で、後付け感を感じさせないという意味なので、とてもうれしいですね」

 

と、ふたりが述べるように、デリカミニ・ダリの完成度はとても高い。冒頭で取り上げたように三菱自動車のブースに堂々と展示され、ウェブサイトで紹介されてもいる。三菱自動車が、ブースを訪れた大勢の来場者が、彼らのモノづくりを認めた証である。

新章幕開けとなるキーデバイス。

 

ダムドにとって三菱自動車はランエボ以来の、久しぶりのコンプリートカーとなった。それでも「やりたいクルマがたくさんある」自動車メーカーだと、ふたりは口を揃えた。

 

「三菱自動車のクルマって、ラリーなどに象徴される闘うクルマとか、強いスタイルを想起させるデザインばかり。そのうえで精巧であり、凛とした自信がみなぎっているようにも感じます。そのデザイン哲学が、ラインナップ全体で貫かれている。それは、私たちのやりたいこととは抜群にマッチすると思います。今回、デリカミニが皮切りとなりましたが、三菱自動車は今後の柱として、より車種を拡げていきたい」

 

三菱自動車には、デリカD:5のようなミニバンがあれば、トライトンといったタフなピックアップトラックもある。「間もなく本格的なオフロード性能を持つ新型クロスカントリーSUVを投入する」というアナウンスが流れ、それはパジェロの復活ではないかと期待されてもいる。それらをダムドカラーに染めたい。と、ダムドのクリエイターたちは、三菱自動車で広がる未来の可能性を思い描いている。

 

「ひとつのプロジェクトが完成に差し掛かるころには、次はこんなクルマをやりたい、あんな造形を描きたいってずっと思っています。やっぱり、新しいなにかに挑んでいるときって刺激的で楽しい。今回のデリカミニ・ダリ、その仕上がりにはもちろん達成感を抱きながら、新しい世界に飛び込む切符をいただいたという意味でも期待しています」

 

デリカミニ・ダリは、単なるモデル拡充という範疇を超えた存在だ。ダムドが三菱自動車という舞台を使って、新しい世界観を切り拓くための一歩になる可能性を秘めている。

 

もし、70年代にデリカミニが存在したのなら――きっと、こんな顔をしていたのかもしれない。温もりのある光を放つヘッドライトで、この小さなクロカンは未来を照らしながら走り始める。

 

伝説の血統、小さな本格派――。
デリカミニ・ダリが、2026年3月26日、いよいよ発進する。

 

 

文:中三川大地
Text : Daichi Nakamigawa
写真:真壁敦史
Photos : Atsushi Makabe