
DAMD JOURNAL _078
「いいモノを長く使う精神」で選んだ相棒たち。
graphzero meets DAMD.
Vol.01
周りの意見や刹那な流行に惑わされることなく、
本当にイイモノ、自分が好きなモノを選んで、
身体の一部になるまで人生をともに過ごす。
そんなライフスタイルをずっと提唱している
graphzero(グラフゼロ)だからこそ、
ダムドに対しては、深いシンパシーを抱いている。
繊維の街から、世界へ羽ばたく。
「おかげさまで全国の百貨店でお取り扱いいただくようになり、さらに北は北海道から南は鹿児島まで、年に20回以上、ポップアップイベントもしています。私たちのデニムをたくさん詰めこんで、可能な限り全国各地を走り回ろうかと思っているんです」
天日干しされたワンウォッシュのデニムが風でゆらゆらと揺れている。その風合いを丹念に確認しながら、鈴木徹也さんは愛車のDEFACE(デフエース)を見る。200系のハイエース生誕20周年を記念して生まれた特別仕様車(スーパーGL“DARK PRIME S)”を基にしたもので、特別色であるアーバンカーキがいい味わいを出している。そこにデフエース固有の顔つきが溶け込む。クラシカルで無骨で、プロツールっぽい雰囲気は、彼が牽引するブランドとは世界観がピタリと一致する。
鈴木さんは自らが興した株式会社Channelで「graphzero(グラフゼロ)」というブランドを牽引する。本拠を構える岡山県倉敷市児島は、作業服や学生服が地場産業であり、その強みを活かして国産ジーンズ発祥の地となった繊維の街だ。彼は「メイド・イン・ジャパン」にして「メイド・イン・児島」を全面に訴え、生地、縫製、加工、染色などそれぞれの職人たちとともに、糸1本からこだわり抜いて自社生産でデニムを生み出す。
大切な宝物を運ぶ、かけがえのない相棒。
「うちのデニムは、お客様が着られてから1年後に完成するのです。決して新品が100点満点ではない。デニムは身体で伸ばして張力をかけて身につけるのが本来の姿。そのうち自分の体型にぴたりと一致するようなり、インディゴ特有の色落ちも楽しむことができて、それは世界にひとつだけの、自分だけのデニムになります」
我が子に対する想いを感じるようなデニムへの接しかたは、クルマもまた同じのようだ。デフエースだって、そうやってじっくりと着こなそうとしている。
「クルマも決して新車のときが100点じゃないと思うんです。使い込んでいくにつれて自分らしさが出てきて、アフターケアをして、ときに好きなカスタムもして、初めて自分の愛車になると思う。革靴やデニムが、徐々に身体に馴染んでいくように」
ラフに使うのと、乱暴に使うのとは違う。腫れ物を触るように丁寧に扱うことだけが、愛でることではない。彼は好きなモノだからこそ、気を遣わずラフに、だけど丁寧にデフエースに乗っている。プロツールとして荷物をパンパンに詰めてどこへでも繰り出しながらも、クリーンに保たれるデフエースを見たら、それが自然と伝わってくる。
鈴木さんとデフエースとの物語はまだ始まったばかり。それでも、一生モノのジーンズと出会ったかのごとく、ずっとデフエースに乗り続けると決めている。鈴木さんが想像した以上に魅力的なクルマだったと、生活や仕事をともにしてわかったからだ。なにしろ時間や距離など微塵も感じさせないタフなつくりを、ハイエースは持っている。多少、旧くなったって、デフエースならそれもまた味わいになりそうだ。いくら傷がついていても、ぼろぼろになっても、すべてかけがえのない、自分自身とブランドの成長記録である。
時間軸を超越したモノに宿る魅力。
「自分が好きなモノ、こだわって選んだものを大切に長く使う」という考えかたは、鈴木さんだけではなく、グラフゼロ全体に貫かれる思想であり、そこで働くスタッフの皆さんも理解している。
ジムニー・ザ・ルーツのコンプリートキットパッケージを纏うシエラは、鈴木さんの伴侶にしてともにグラフゼロを支える宏美さんの愛車だ。シフォンアイボリー&コットンホワイトの色調が、いかにもクリーンでノスタルジーである。ルーフラックやシートカバー、リアラダーなど、こだわりの装備は数多くある。
「いままで乗ってきた愛車のなかで、1番のお気に入り。サイズ感とデザインが最高ですね。もともと四角いクルマが好きで、でもこれは単純にカクカクしていてカワイイっていうだけではなくて、時間軸を超越した魅力がある。時間が経っても廃れないものに、仕事柄、自然と惹かれるんだと思います」
等身大で自分らしく、ありのままに。
グラフゼロで働く正渡さんの愛車もジムニーだ。
彼女はグラフゼロでパタンナーと生産管理を担当している。
トレンド重視なのが当たりまえというアパレル業界でも「旧くから愛されているものに魅力を感じる」という。そういう意味では鈴木さんご夫婦と同じ考えかたを持って、日々、腕をふるっている。
「ジムニーの新型(JB64/74)が出るというタイミングで、昔ながらのデザインに回帰するということを聞いて購入しようと思いました。もともとJA11に乗っていて、あのか細いデザインが好きだったんです。でも、どうやら納車まで時間がかかりそうだったので、じっくりとカスタムパーツを吟味していたときにダムドを知ったんです。新型(JB64/74)は確かに私の好みだけれど、さすがにJA11時代の姿カタチに比べたら下回りがボテっとしているなぁと思っていたところ、ジムニー・ザ・ルーツのボディキットを活かせば、シュッとか細く昔風情のジムニーになると思いました。古めかしいデザインなのに、現代的なクルマで機能的なので、とても気に入っています」と、グラフゼロの皆さんは、好きなモノにはトコトンこだわる人たちだ。
でも、決して高級品を好むわけではないし、ただキレイに飾り立てるだけの趣味もない。デニムのエイジングのように、たとえ愛車に傷や汚れ、飛び石がついたって思い出のひとつ。とにかく自分の好きなモノを、自分らしく、長く付き合いたいと考えている。
そんなグラフゼロにダムドは共感し、これからもそっと寄り添っていく。
協力:グラフゼロ
Cooperation : graphzero
086-441-1457
文:中三川大地
Text:Daichi Nakamigawa
写真:真壁敦史
Photos:Atsushi Makabe