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エアロパーツ、ドレスアップのダムド|DAMD Inc

DAMD JOURNAL

DAMD JOURNAL _042

ROAD TRIP NIPPON vol.11

DAMDのボディキットをまとった
JB74 ジムニー “little D”に牽引され
全国のアウトドア系イベントで注目を集めている
キャンピングトレーラーがある。
本場欧米からの輸入車ではなく日本で企画、
デザイン、製造されたトレーラー“X-cabin”を、
ON THE ROAD MAGAZINEの編集長であり、
イラストレーターとしても活躍中の
GAOニシカワさんがレポートする。

ROAD TRIP NIPPON」番外編、
キャンピングトレーラー“X-cabin”と
ロードトリップする優雅な時間。

日本でキャンピングトレーラーを牽引する

 

空前のアウトドアブーム、そしてコロナ禍の影響もあり
今熱い視線が集まっているキャンピングカー。
日本では軽の箱型バンを含むワンボックスタイプの
クルマをカスタムした『バンコンバージョン』、
軽や小型トラックのキャビンとラダーフレームを
ベースにした『キャブコンバージョン』と
呼ばれるタイプを数多く見かけるようになった。
一方1920年代から自家用車が普及していた欧米では、
キャンピングカーも長い歴史をもち、
自走タイプのほか乗用車で牽引する
トレーラータイプもポピュラーな存在だ。

 

 “Little-D.”に牽引された
キャンピングトレーラー“X-cabin”は、
国内のさまざまな法規や道路事情を考慮しながら設計、
優れた機能性とスタイリッシュな外観をもつ。
車量750kg以下という開発目標を設定した
理由の一つは引っ張るクルマへの配慮だという。

 

「ヨーロッパではファミリーカーでトレーラーを
牽引することがポピュラーなので、
小型車もとても頑丈に設計されています。
しかし日本車にはその前提がありません。
X-cabinはどんなルマでも無理なく牽引できるよう、
少しでも軽くしたかったのです。」
そうお話ししてくれたのはX-cabinを製造・販売する
株式会社エフェクトメイジの広報、高須奨さんだ。

 

「もう一つの理由は日本の免許制度です。
トレーラー部分が750kgを越えなければ牽引免許が
なくても牽引することが許されているのです。
コンパクトな車両サイズも日本の道路事情に
合わせて設計したものです。」

MADE IN JAPAN ならではのこだわり

 

軽さと強度を追い求めた結果、
X-cabinのボディはフルアルミ製となっている。

 

「主に34ミリ厚のアルミ板を使用しています。
コーナーを曲面にすることにこだわって、
アルミの叩き出し成形ができる工場を探すところから
開発がスタートしました。そんなこともあって
一台目の製作は苦労の連続でした。」

 

職人の街、東大阪の金属団地に腕利きの職人がいる
工場を見つけプロジェクが一気に前進。
ボディだけでなく、ラダーやキャリア、
エアコンの室外機カバーなど多くのパーツを
アルミ製とした。キャンピングカーに欠かせない
給水・排水タンク、温水が供給できる外部シャワーなど
快適装備を標準化するほか、
ANKER4,400kwアワーのバッテリーを搭載。
外部電源のないフィールドでの宿泊も安心して楽しめる。

 

走行性能や安全性にも配慮、シャシーは
トレーラー先進国であるドイツの
AL-KO社」製をチョイス。
引っ張る乗用車のブレーキングをヒッチ部分で
感知して制動する慣性ブレーキを搭載、
安定した牽引が可能になっているという。

上質なインテリアと充実した装備

 

こだわりはインテリアのしつらえにも
行き渡っており、それがトレーラーの
ブランド名にも反映されているという。

 

X-cabin“X”はエクストリーム、“cabin”は
クルーザーの船室をイメージしたものです。
室内の壁面や床、家具類の素材や作りの良さはもちろん、
断熱性能に優れたガイナペイントの採用や
内装されたスタイロフォームによって、
快適な居住性をもった極上の空間に仕上げています。」

 

観音開きのリアゲートを開くと、冷蔵庫や温水器、
カセットボンベユニットなどがキレイに収まっており、
隅々まで心が行き届いた作りの良さが印象深い。

 

実はエフェクトメイジはもともとキャンピングカー
製造メーカーではなく、同社の創業者がドイツ、
デュッセルドルフのキャンピングカーショーに出向き、
トレーラーの輸入を手掛けようと考えたことが
現在のビジネスにつながっている。

 

「塩害にも強いLED照明を作っている会社なのです。
船舶や港湾施設に照明器具を供給しており、
また弊社の創業者が船好きであることもX-cabin
コンセプトに深く関係しているのです。
海外のメーカーとやりとりしながら思い通りの
仕様のトレーラーを作って輸入するよりも、自分たちで
作った方が早いだろうと判断、現在に至るのです。」

 

2020年の企画スタートから設計・製作作業を経て
X-cabinが完成するまでにかかった時間は一年ほど。
現在キャンピングトレーラーにはベーシックな
X-cabin300”、優雅なソロツアー&キャンプを
イメージした“X-cabin300 SOLO BD”、
グランピング仕様の“X-cabin300 GLAMP”の
3つのバリエーションがあり、
キッチンカー(移動販売用トレーラー)仕様の
X-cabin300 FT”もラインナップしている。

“X-cabin300 SOLO BD”の概要

尚、このページでご紹介している
X-cabin300 SOLO BD”
ラダーやキャリアなども装備する
フラッグシップモデルで優雅な
ソロツアー&キャンプを想定した仕様。
“300”はボディ全長(300cm)、
DDはリアの観音開き扉(Burn Door)をあらわす。
トレーラーヒッチを含む全長は、4,580mm、
全幅は2,120mm、全高2,200mm
車両重量730kg。価格は税込7,200,000円。

「車両の製造は愛知、奈良、三重にある
弊社のファクトリーで行なっています。
現状受注から3~4ヶ月程度で
ご納車しています。」とのこと。
気になる方は、
X-cabinのwebサイトをご覧いただきたい。

取材協力:
ヴィ・アゲインヴィレッジ
公式ホームページはこちら

X-cabin
公式ホームページはこちら

車両:
X-cabin300 SOLO BD &
    DAMD JB74 JIMNY  SIERRA “little D



DAMD JOURNAL _058

little-5と行く、アート&クラフトな旅。 at 浜松・掛川

「行ってみたいところがあるの。」
そんなひと言をきっかけに、二人は
横浜を出発してハイウェイを西へ。
目指すは冬でも温暖な静岡県西部。
ロードトリップの相棒は
フレンチテイストの美しいブルーに
ペイントされたDAMD“little-5”だ。

Act.1/浜松市秋野不矩美術館を訪ねる

 

横浜インターから東名高速で西へ、御殿場から
新東名高速に入り途中運転を交代しながら
さらに南下。トリップメーターが200km
到達する頃、浜松浜北インターから一般道路へ。
最初の目的地は「浜松市秋野不矩美術館」だ。

 

静岡生まれの秋野不矩(あきのふく/1908-2001年)は
文化勲章を受賞した著名な日本画家。
50代でインドの大学の客員教授として現地に
招かれたことをきっかけに、インドの風景や人々、
寺院などをモチーフとした作品を制作。
以降アジア、中東、アフリカを巡り、
その経験も作品作りに生かしながら
晩年まで意欲的に創作を続けた。

 

秋野画伯の偉業を讃えるとともに地域の
アートカルチャーの振興を図ることを目的として、
秋野画伯の生まれ故郷を見下ろす丘の上に建てられ、
1998年にオープンしたのがこの美術館。
建物は、東京大学名誉教授、
江戸東京博物館館長を務める建築家、
藤森照信の手によるものだという。

昼過ぎに現地に到着。little-5を停めてまずその周囲を
散策することにした。なぜなら建物自体も
この美術館の大きな魅力の一つだからだ。
地元特産の天竜杉など自然素材をふんだんに使って
建てられ壁面を漆喰で仕上げられた外観は、
いい意味で現実離れしたちょっと不思議な、
そして温かい雰囲気を湛えている。館内に入ると、
柱と梁を効果的に露出させた高い天井が
特徴的なロビーの先に、木製の
下駄箱が用意されていることに驚く。
ここは靴を脱いで作品を鑑賞する
スタイルをとっているのだ。床にも天然素材が
敷いてある展示室で裸足でアートと触れ合う感覚は、
今までに経験したことのない豊かなものだった。
特別展示をはじめとした美しい作品群を
時間をかけて堪能。
帰りに併設のミュージアムショップで
ポストカードを数点、手に入れた。

 

 

※特別に許可をいただき芝生スペースに
車両を乗り入れて撮影しました。
ご来館の際は美術館の駐車場にお停めください。

【浜松市秋野不矩美術館】
静岡県浜松市天竜区二俣町二俣130
HPはこちら

Act.2/掛川でクラフトマンの味を楽しむ

 

美術館を出て南下、袋井市を経て目指すは静岡県有数の
茶所、掛川。太平洋に最も近い国道沿いには
イチゴ狩りが楽しめる農園もある。
そんなルート150号線沿いに、知る人ぞ知る
本場ドイツ製法で作った唯一無二のソーセージや
ハムに出会えるクラフトマンの工房があるのだ。

 

2008年にオープンした「大石農場ハム工房」は
その名の通り、自らの農場で大切に育てた豚から
丁寧に手作りしたソーセージ、ハムが自慢。
店主で職人の大石善弘さんが材料を厳選して
作る美味なる逸品たちを求めて、
ご近所はもちろん、浜松市や静岡市、さらには
県外からもファンが訪れるという名店なのだ。

 

店内のイートインスペースでは
オリジナル・ソーセージをはさんだホットドッグを
いただくこともできるということで、迷わず注文。
プレーン、モッツアレラ、チョリソの3種類から
選べる肉汁したたるボイル・ソーセージと、
トースターで焼き目を入れたパンの組み合わせは絶品!

「旅のお土産にピッタリのおすすめは?」と
大石さんに聞いてみると、「国際コンテスト
金賞受賞のあらびきウィンナーや
ビアシンケンをはじめ、すべてがおすすめです!」と
笑顔で答えながら、自慢のハムを
テイスティングさせてくれた。それでもチョイスに
迷う二人に、大石さんはスライスしたハムを
数枚ずつ複数種類パックすることを提案、
「ビールのお供にも最適なので、続きは
ご自宅で楽しんでください!」と
選んだハムを保冷バッグに入れて手渡してくれた。

 

【大石農場ハム工房】
静岡県掛川市沖之須451-3
HPはこちら

Act.3/旅の仕上げは極上の夕焼け空

 

冬の一日が暮れるのは早い。夕方に近づくにつれて
空模様が怪しくなってきた。
「太平洋に沈む夕陽はお預けだね」と
話していたその時、バックミラーに写る
西の空が赤味がかってくるのが見えた。ナビの画面を
確認しつつ国道をそれて、海辺を目指す。
やがて舗装が切れて、砂のダートになる。
防砂林を抜けると海が見えてきた。
砂塵を巻き上げながら誰もいない海沿いを走り、
ベストポジションを探す。彼方に水平線が広がる。
そして曇り空の隙間から周囲を広範囲に
赤く染めながら顔を出す美しい夕陽が。

 

ここぞというポイントを見つけて“little-5”を停める。
はしゃぎながら夕暮れの海が見渡せる砂山に登り、
大きく腕を広げて海風を胸いっぱいに吸い込む二人。
夕陽によって真っ赤に染め上げられた彼らの姿と
“little-5”のボディが、さながらアート作品のように
光り輝いて見える。
刻一刻と表情を変える夕暮れの風景。
その一コマ一コマはまさに映画のワンシーン。
極上の夕焼け空が作り出す景色が、アート&クラフトな
日帰りドライブのエンデイングに相応しい。

 

日没とともに紫から濃紺へと表情を変える大空を
眺めていた二人は、再び“little-5”に乗り込み、帰路についた。

 

写真:真壁敦史
文:GAOニシカワ(ON THE ROAD INC.
モデル:YUMIKA, KOSEI